工業団地 2010 8 21

 私の中学校時代の同級生は、30人クラスのうち、
大学に進学した人は10人にも満たなかったと思います。
 同級生に「私は、将来、大学に行く」と言ったら、
「よっぽど勉強が好きなんだね」と、からかわれたことを覚えています。
 大学に進学しなかった同級生は、
地元の工業団地に就職したと思います。
当時は、大企業が地元の工業団地に進出してくるという話題が多かったのです。
 さて、21世紀となった今では、
大企業は、国内の工場を閉鎖して、海外の工業団地に進出していると思います。
 どうして、こうなったのか。
それは、為替レートです。
昔は、1ドル360円の時代が長く続いていました。
それが、今や、1ドル80円割れの予想も出ている時代になりました。
 多くの日本人が、給料が上がらなくなったと嘆いていますが、
それは、円表示の給料であって、ドル換算の給料は大幅に「昇給」しています。
経済に国境がなくなった現在は、自分の時給をドル換算で考える必要があるのです。
 もちろん、多くの日本企業は、
国内の雇用を維持しようとして、生産性の向上や技術革新に努力してきたと思います。
だから、1ドル120円時代に耐えられる経営体質になった。
次に、1ドル100円時代に耐えられる経営体質になった。
なんとか、1ドル90円時代に耐えられる経営体質になった。
そういうコメントが新聞に載っていました。
 しかし、もはや限界でしょう。
現在の為替水準では、国内の工場を閉鎖して、
人件費の安い国に工場を建てると判断するのが、妥当でしょう。
 昔だったら、高校を卒業して地元の工業団地に就職した若者は、どうなったか。
地元の就職先が減った代わりに増えた地元の大学に進学するようになりました。
「大学4年間に景気が回復すれば」という期待があったと思います。
しかし、その4年間の間に、円高は、さらに加速し、工場の海外進出も加速。
 最近、政府は、就職先が減った若者のために、
介護や医療関係の職業を増やそうと考えているようですが、
それは、まさにマルクス経済学の発想です。
 そもそも、介護や医療関係の職業は、
人間が好きでないと勤まらない職業です。
人間嫌いの人に介護されても、不快な思いが残るだけでしょう。
こうした福祉系の職場は、使命感を持っている人でないと長続きしないのです。
自分の家族を介護できない人に、他人を介護することはできません。

福祉の心 2010 8 8
 まさかとは思いますが、政府は、
円高の影響で国内の工場が閉鎖されたために失われた雇用を、
介護などの福祉分野で確保すると考えていないでしょうね。
 そうだとしたら、「甘い」と言わざるを得ないのです。
そもそも、「福祉の心」を理解していますか。
 私は、若い頃、知的障害者(児童)のために、
授産施設の立ち上げを手伝ったことがあります。
 その時、代表の人たちや仲間たちを見て感じたことは、
「この人たちは、お金のために働いているのではない。
本当に人間というものが好きで働いている。
給料よりも、知的障害者の笑顔を見たいために働いている。
これが福祉の心というものか」と感じました。
 福祉の現場は厳しい。
福祉の心がなければ長続きしない。















































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